雑記

根津美術館に行ってきた

しばらくまたサボっておりましたら、家人にチクリと「ブログ書かんか~い」。そういや日々の仕事にかまけてサボっておったなぁと反省し、こうしてしこしこ書いております。まだ梅雨の最中と云え、暑い日が続きますね。あんまりカラッと晴れと云うよりジメジメした湿気を感じる陽気です。皆さんも食中毒はもちろんのこと、急な暑さに身体がまだ慣れていないでしょうから、くれぐれもご自愛ください。

さて先日、青山の根津美術館で行われている展覧会「カラフル 中国明清工芸の精華」を観に行ってきました。今回はマニアックなものではなく、とてもわかりやすい工芸の優品が展示されておりました。すなわち技術的に爛熟とでも云うような。贅の極み、神業のような職人芸を集約した手の込んだものが多いのですが、そんななかでも日本人好みの芙蓉手や古染付、呉須赤絵などのやきものも展示されていました。堆朱や存星などの漆器は手の込んだものですが、以前は中国人はあまり顧みなかったこういった古染付なども最近中国本土でも注目されているのかもしれません。

別室では書画が一面に掛けられています。渋い山水などはなかなか一般受けしないのか、主婦のグループがまったく掛物には目もくれず椅子に座って世間話を一生懸命にしゃべっていたのが対比としてちょっと面白かったですね。でもあんまりしゃべり声がうるさくて顰蹙も買っていたようですが・・。

それでも画帳仕立てになった草花や虫を描いたものは本当に美しく、だれでもがそのすごさを感じられるものでした。やっぱり手先に工芸の神様が宿るような人種、すごいものだと感心しきりのひと時でした。

特集が終わって二階の常設展示も覘きます。茶道具の設えは「鳴神月の茶」。うっとうしい雨の季節も愉しもうという趣向で、お茶碗は高麗雨漏り茶碗、銘は優曇華。柔らかな素地に入ったニュウなどから染みたお茶が雨漏りしたように広がる名碗です。今では海外でも理解されるようになったかもしれませんが、やはりこの美しさを発見したのは初期のお茶人たちでしょうね。経年変化の美しさを愛でる、と云うのは日本人独特の視線です。

崩れかかった田舎の寺院などの土塀、雨に濡れそぼった石の質感など、身の回りに普通にある、云わば天然の抽象美術を子供のころから見慣れている私たち、そんな原風景をノスタルジーだけではなく、もっと日常でいろんなもの、たとえばお茶碗に出来たシミひとつに感じることができる感覚は大切にしていきたいものです。

私の場合、かなりお酒のシミを好み過ぎる、きらいがございます。

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展覧会]2014年6月15日

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