雑記

西荻窪の一日

秋が一日づつ深くなって、鍋ものが恋しくなってきた今日このごろですね。季節の移ろいを楽しめることを感謝しつつ、また拙文をつづっておりますので、しばしお付き合いください。

昨日、10月10日は西荻窪の井荻會館にて「骨董好きまつり」が開催されておりまして、私も末席に出展させて頂いておりました。公民館のような性格の建物な んですが、昭和のなつかしい木造の建物で、階段の手すりや廊下などある種の骨とう品のような味のよい質感になっています。このイベントは10年ほど続いてお りまして、テレビの「なんでも鑑定団」でおなじみの勝見充男氏も出展していらっしゃいます。すでに定着して、このイベントを楽しみにしているお客さまも 増えてきたようです。それというのも西荻窪の老舗骨董店、伊勢屋さんやタンスやガラスをおもに扱っておられる、やはり西荻窪の駱駝さんのお働きによるもの で、参加しているものとしては本当に感謝に堪えません。



さていつものお客様との商談をしつつ、忙しい時間がすぎていったのですが、ふと気がつくと熱心に品物を眺めておられる女性のお客様がいらっしゃったんです。わたくしのところは同業者さんとの取引が多いし、地味な色合いの店なもんでほとんどのお客様が男性、女性が立ち寄ることはあんまりありません。あまりイベントの最中に細かい説明などしないんですが、その方はとても真剣にご覧になっていたのでわたしも出来うる限りのわかりやすい説明を、その商品について一生懸命にさせていただきました。するとその品物について、「今までよく知らなかったものだけれど、買ってみたい。」とおっしゃって品物を買っていただきました。

何を当たり前のことを書くのかと思われる方も多いでしょうが、あまりにおなじみさんとの商談が多いと、こと細かく説明して品 物のすばらしさを伝えるという骨董商の基本を忘れていることが多いんです。本当にこれは常に反省しなければならない点です。わかっている人に売るのは誰でも出来る、知らない方にその良さを伝えてわかっていただいてこそのアートディーラーであろう、という姿勢を忘れてはいけないと考えています。

最近は不景気が合言葉になってしまっていますが、そんな言葉はグッと呑みこんで表に出さず、足元をしっかり見つめ不断の地味な努力を、美しさを伝えていくという努力をつづけていこうと気持ちを新たにしました。

なんて書いてもすぐ、おっちょこちょいなんで忘れたりするんですけどねぇ…。

まあ毎日、この商売、楽しいんでつづけていけるんですよ。そんじゃまた読んでくださいね。

イベント]2009年10月11日