雑記

流行らないもの

まぁ~よく降るな~、とここのところ台風と秋雨前線とで連日の雨ですね。ここ国分寺では被害らしきものはありませんが、北海道や東北、あるいは九州や四国などでいろんな被害が出ているようでお見舞い申し上げます。どうぞ安穏で平安な日々が一日でも早く戻るようにお祈りしております。

さて骨董、古美術の世界はむかしながらのイメージで云えば、ほこりのかぶった箪笥や仏像の奥の部屋で頑固おやじが渋茶すすりながら常連とたわいもない話しをして、通りがかりのお客さんが入るとギロっとにらまれてなんとも居心地悪い・・、なんてところでしょうか。

上記のようなお店はまだあるにはあるでしょうけれど、ほぼ絶滅危惧種であろうと思います。実際のところ、いろんなものが売れなくなっている時代にそんなお店は生きていけません。(他の収入があって趣味のような形で続けている人はいるでしょうが・・)

ダイナミックなビジネス最前線を走っている人はそんなところで暇をかこっている場合ではなく、毎日全国どころか世界中を飛び回って仕入れに命を賭けているわけですね。魅力のある品、魅力のある店舗でなければ当然新しいお客様に振り向いてはもらえませんし、外国人にも販路を広げて生き残っていこうとしつらえもきれいにして発信しているわけです。当店は自宅兼なのでそんなきっちりとしたしつらえは出来ませんが、それでも一室をくつろげるような空間にしたいといろいろと工夫をして悪あがきをしていますし、仕入れの方も世界中というわけにはいかんのですが、それでもあちこち出掛けては愉しいもの、使えるもの、心魅かれるものを必死に探し回っているわけです。

昔ながらのイメージでもうひとつ、この世界には流行があまり無さそうですよね。実は私自身もこの業界に身を置くまではそう思っていました。ところがいざ入ってみると他の業界と比べものにならないくらい早い流行の嵐が吹きすさんでいる場所でありました。

しかしその流行ばかりを追いかけていると、一体何のためにこの仕事を始めたのか?何を一体やりたいのか?ということがわからなくなってきます。もちろん理屈ではなく具体的にモノが売れていかないと生活が出来ないわけですから、それを全く無視するというのも難しいのではありますね。でも自身のアートディーラーとしての矜持をきちんと持っていないと、要は自分の哲学を以て自分がいいと思うモノをきちんと評価し世の中に送り出して、そこに共感してくださるお客様を見つけ出していかないと意味がないということなのだと思います。

古いモノすべてが美しいわけではありませんが、かといって今売れているモノだけが美しいということもありません。先人が残してくれたものたちの中から自分の琴線に触れるモノを取り上げて次世代に伝えていくのが我々の仕事、それには日々の「眼の鍛錬」が必要で、そのことを怠らずやっていこうと思っています。

なんてカッコつけたことを云ってますが、最後に告知ひとつ(このあたりテレビ番組のバラエティに出てくる番宣のようですが・・)9月24日18時頃から10月2日までfufufufuのサイト上でウェブ企画展をやります。タイトルは「泥絵 小品展」。数は少ないのですが6点、コレクターさんから出た通常より小さく愛らしい泥絵を出品します。小さくとも中身の詰まった密度の濃いもの、全て額装済みなのですぐに飾って愉しむことが出来るものです。

まさしく流行で云えば表題通り「流行らないもの」なのですが、いいものはいいのです。そしてそんなものに光を当てていくのも仕事なのですね。どうぞ気軽に覘いて頂ければと思っています。アクセスは下記よりどうぞ(開催前はごあいさつのみ掲載されております。スタートした後は各商品の詳細画像がご覧いただけます。)
http://www.fufufufu.com/exhibition/detail/exhibition_id/57/
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イベント]2016年9月23日