雑記

横尾忠則 HANGA JUNGLE

世の中はゴールデンウィークということで、あちこちの行楽地には人、ひと、ヒトが溢れ返っておりましたね。混雑する人混みがあんまり得意ではない私としては、この時期はいつも家に引きこもっております。地方に出かけても道路の渋滞にはまりこんでしまうのはちとツライ。しかし今日はそれも終わって月曜日、休み明けに調子が戻らず物憂い人たちも多いことでしょうが、穏やかなで気持ちのいい晴天ではあります。

先日は国分寺からもわりと近い町田にあります、市立国際版画美術館へと行ってまいりました。ゴールデンウィーク中とはいえ郊外の美術館ですから、それほどの混雑もなく静かに鑑賞することのできる気持ちのいいスペースです。公園が隣接していて、そちらの散策もなかなかいい場所です。
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横尾忠則さんは今も旺盛な製作を行っておられる方でしょうが、その横尾さんの版画に焦点を当てた大回顧展になります。ご本人曰く「もうやらない」ということらしいですが、なるほどそれくらいヴォリュームのある量の版画がジャングルを思い思いに埋め尽くす樹々のようにどっさりと展示されておりました。

私の横尾さんのイメージは状況劇場のポスターや、TBSテレビの番組「寺内貫太郎一家」や「ムー一族」などのタイトルバックが最初でありました。けばけばしくキツイ色使いの、いやでも擦り込まれてしまうような強烈なイメージのものでしたね。特に私は小学校高学年の時に観ていたテラカンの不思議な演出から醸されるミョウな空気と、番組冒頭のくっきりと描かれた皺がやたら目立つリアルな似顔絵とそこにカブるポップアート的ドギツイカラーのとりこになり、欠かさず観ていたものでした。横尾さんも謎の居酒屋常連客の役で出演されておられました。

それらは版画のお仕事とは違うもののようなので、シワシワグロテスクのきんばあちゃん(悠木千帆、現樹々希林さん)の顔は観られなかったのですが、その時々のご自分のブームがあるようで、滝やら南国やら過去の名画のコラージュ的作品やら、そしてエロティックなモチーフを使用したものまで様々に変化していく作家の変遷がわかるような構成でまさにこれもジャングルなのです。
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あまりに有名なポスターはここでは載せていませんが(昔から親しんでいたので当たり前になってしまい撮り忘れたのがほんと)、なにしろ私的流用に限っては撮影が許可されているのでこうして画像を掲載しながら書けるのはわかりやすくていいですね。もしかするとこうした画像の流用がブログの文章やSNSによっての拡散していくことがまた大いなる作品のインスタレーションの一部なのかもしれませんな。それこそ版画が同じものをたくさん刷っていく複製美術であれば、無限に広がっていくインターネット版画の世界はとてつもなく面白い現象ではあります。自分でわざわざ刷らなくとも勝手に増殖をしていく植物のよう!、あっこれが我が物顔に増えていく樹々の住み家、ジャングルなのでありますね。

6月の18日まで開催されているのでご興味ある方はぜひ。詳細は→http://hanga-museum.jp/exhibition/schedule/2017-333

たっぷりと堪能したあとはジャングルならぬ海からの贈り物、ゲソ揚げでチューハイを一杯であります。
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展覧会]2017年5月8日