それは地味な展覧会、でも・・・
三寒四温で少しづつですが春の予感を感じられるこの頃、いろいろと憂い事はあってもそれはそれとして、なんとなくうれしくなってきますね。昨日は春の嵐とも云うようなすごい風が吹きました。予定を切り上げて早く帰宅しましたが、お仕事帰りの方はずいぶんと難儀なことだったでしょう。でも季節の変わり目、温かくなってくれるのはありがたいことです。
さてそんな風のなか、横浜は金沢文庫まで展覧会を見に行ってきました。「中世密教と(玉体安穏)の祈り」です。ご存知のように金沢文庫のある地域は、武家の政権、鎌倉時代に権力を掌握していた北条氏の領地、そこには中世のさまざまな資料が残されている地です。そのなかで当時の密教儀礼、とくに天皇の御身体を守護する目的の修法に関する古文書などを中心に、儀礼に使用される曼荼羅や垂迹思想による社寺曼荼羅などの周辺の宝物を展示していました。
なかなか地味な展覧会ですが、でも中世と云う時代においてこの鎌倉幕府のお膝元の宗教儀礼に関する古文書の量は大したもの、このように残された文書は研究者にとっても貴重なものでしょう。もっと美術的な観点からみても敷曼荼羅のまばゆいばかりのエロティックな赤、真言八祖像や明王像などの仏画、あるいは修法の次第を記した白描図などの美しさは特筆に値すべきものかと思います。出品数自体はそれほど多くないかもしれませんが、絞りに絞った面白いテーマであったと私は考えています。
今回のメインのキーヴィジュアルである遊行寺蔵の重文、後醍醐天皇像は公開日にあたらず残念でしたが、(複製が展示されていました。)それもこれから4月8日~20日の最終日までは原本が見ることができるようです。
雨の平日ということで、私以外の見学者はいませんでしたが、もっともっと多くの人に観て頂きたいと展覧会でした。
[展覧会]2014年3月14日