雑記

お久しぶりに日本民藝館

みなさま若葉の候、如何おすごしでしょうか。世間様はゴールデンウィークに入り、なんとなく浮かれた雰囲気ですが、骨董屋にはあまり関係なく仕事が追い掛けてきます。なんとも人が休む時に働き、人が働く時にはやっぱり働く、でもちょっとサボるというのが我々であります。まー疲れたとかしんどいとか云いながら、やっぱり愉しんでいるのが本音ですが…。このところまじめに更新しておりませんですいません。また少しお付き合いください。



さて先日、駒場東大前から徒歩約6~7分でしょうか、久しぶりに日本民藝館に行ってきました。以前から何回となく足を運んでいる場所ですが、やっぱり気持ちのいいところですねぇ。そこで開催されている「朝鮮陶磁・柳 宗悦没後50年記念展」を観るためです。足をふみ入れると大谷石を敷き詰めたフロアー、正面の階段からまずは2階へ、おおきなメイン展示室に入りました。鉄砂、辰砂、瑠璃、染付などの名品が…、もっとも柳が見出した当初は下手物扱いだった かもしれませんが。名品ということばもあまり当たらないのかもしれません。彼の独特の眼で選び抜いた品はやはり素朴で穏やかなものばかり、決して中国陶磁のような峻烈な鑑賞の眼で選ばれたものとは違います。どちらが上とか、すばらしいとかではなく「人は人、吾は吾、されど仲良し」なんでしょう。

そして2階の別の室、茶碗のブースにやってきました。刷毛目、三島、粉引、井戸とそれぞれすばらしいものがあり、またいまでも手に入れられるものもありで、茶道の決まりに縛られない分、すこしサイズがはずれたものでも面白い肌の茶碗を集めていました。自分も商いの制約はあるものの、大きくて豪快な感覚の茶碗が好きなのでよく買いますが、お客さんにもうちょっと小さければねぇといわれてしまうこともしばしばです。もうちょっと自由でもいいんじゃないですかと思いますが、ま、それも人は人なのかなぁ。個人的には首里布の仕覆に入った高台の高い刷毛目茶碗が欲しいな~とおもいました。

たくさんの品物のなかには(もちろん手に届かないものが多いのですが、)自分の商っているものと同手のものがいくつかあり、これがなんとなく勝手な思い込みでしょうが偉大なる先達、柳からの「それでいいんだよ」と励まされているように感じ、元気になって民藝館を後にしました。

生活に即した骨董、高みにたって鑑賞を受けるような骨董、自分はどちらも興味があるし、どちらも目指していきたい、まだまだ志半ばですね。そしてこの高い階段を上っていこうと思ったわたくしでした。

く~かっこいい…。「酔ってんじゃないわよ」、カミさんの声であります。

展覧会]2010年4月29日