毎度細々と書いておりますブログですが告知ばかりで恐縮です。そんなことで告知とは無縁の先日の出張について。
久しぶりに東北の地に行ってきました。我々業者同士の交換会の大会が年二回、春と秋に開催されるので岩手まで足を伸ばしてきました。相変わらずにぎやかに開催されてはいるのですが、なかなかに好みのものは少なくほんの数点買っただけで今回は終わってしまいました。
東北という大地が産み出す雄勁で武骨ながら力強い数々のモノたち。その魅力に取りつかれたように幾度となく通ってはや十数年経ちますが、彼の地でもなかなかモノが出てこないという嘆きは当初の頃から聞いています。
それは再生産が効かないモノの宿命でもあるわけですが、それよりもこれら簡単な括りで云われる民藝というものについての啓蒙活動のようなものを熱心にやってこなかった我々にも大いに責任があるのかもしれません。曰く売れないから熱心に探さない、こんなことが原因になってしまっているのもまた考えなけりゃいけないことかもですね。
それでも東北の地は愉しいものがたくさん出た時代の残り香のようなものがあるので、やはり春と秋には通うのですがね。
さて人のことはともかく具体的にお前はどうするんだ?と問われたときに、滔々と語ることの出来る哲学があるわけではありませんが、声を大にして云いたいことは、好きなものを紹介し続けるのみである、という事でしょうか。
この業界、品物よりも自分を買って貰えと昔から盛んに云われます。確かにそれは大いに云えるのでしょうが、現代に於いて良くも悪くも豊饒な顧客と売り手側の関係は無くなってきているように思います。それがいいことか悪いことかはともかく、そういう時代に変化しているのでしょう。
また情報を得る手段としては紙媒体よりもネットで得ていくことが多くなってしまっています。そこには自分の知らない世界へのアクセスはなかなか少ないもの、必要な情報にしか目を向けないとなれば、こういった地味なものが注目されることはなかなか難しい時代になってきています。
そんな状況下で自分の好きなモノたちを新しい人たちに知ってもらい、興味を持ってもらうにはどうすればいいのか?もっともその答えは簡単には出せないものでしょうが・・。
少なくともひとつひとつ出来ることからやっていくとしたら、日々の発信をより多くの媒体を駆使して紹介し続けるしかありません。場合によってはまったく違い環境でのアプローチが必要なのかもしれませんね。
そんな風に日々悶々として考えてはいますが、アリの一歩、なかなか難しいことが多いですが、それでも自分の好きなモノを紹介すること、探すことは何より面白いこと、一生やめられそうにありません。このお仕事は・・。
[旅行]2018年5月24日
エピローグってあーた!、そんな御大層なもんか~い!、とツッコミが入りそうなこのブログ、でもやっぱり台湾編は書いとかなきゃです。
呑んで食って観て歩いての台湾、流石に疲れてここらで癒しを求めて温泉にやってまいりました。台湾の温泉はグッとリーズナブルで地元の人も入る水着着用のスパリゾート的なものと、日式と表記される裸で入る日本の温泉スタイルとありますが、後者の方がとても高い!だもんで調べて前者の地元式の方に入りに行ったんですね。すると入り口の門番のようなおばあさんに水着をチェックされます。そして何故か理由がわからないけど「この水着じゃダメ!」と云われてしまいます。別に奇をてらったものじゃなく普通の海パンなんですが、向うも英語がしゃべれない、こっちも片言くらいでは意思の疎通が細かいところは難しい!入口付近には海パンを持参しない人のための水着売り場もあるんですが、そこで売ってる水着と持参した自分の水着の差がわからない。売ってるちょーダサい水着を高い金出して買うのもばかばかしくて、あきらめて日式温泉に向かいました。
途中の川の水も温泉です。
流石にお風呂は写せないので建物の外観だけ。
洞窟を刳り抜いた岩風呂のような感じ、露天じゃないので解放感はありませんが、なかなかお湯は気持ちがいいですね。これは日本の温泉と同じです。
さてリフレッシュして今度は、街中の美術館へ。ここの現代美術事情は詳しくは知らないのですが、以前日本でヤゲオ美術財団のコレクションを観たことがありました。意外と云うと失礼ながら世界中の作家と共に中国、台湾のアーティストのコレクションも充実しており、市場は日本よりもずっと元気な印象を持ちました。さて今日行ったのは台北當代藝術館です。もともと学校のような建物をそのまま展示スペースにしてしまったところで、企画展覧会「光・合作用」と題した催し物が開催中でありました。
入り口のオブジェ
中の作品については撮影不可ですので可能なものをパチリ
別棟でデザイン館もあります。入り口でハシャぐ嫁(検閲に引っ掛かり顔出しNG)
今回の展覧会は特にテーマがLGBTの人々にスポットを当てていて、作品もゲイカルチャーを始めいろんなエロスとタナトス、抑圧と反抗といったような作品が多かったように思います。彼の地ではまだまだ解放されているわけではなさそうで、特に抑圧の側面が目につきました。
それにしても台湾はリノベブームらしく、古い建物を安価に取得して出来るだけ再利用し、中では服やおしゃれな雑貨など売るお店がものすごく多いようでした。地方に行けばまた別の面が見えるのかもしれませんが、日本風に云えば昭和の街並みが残されていてどこか懐かしい街並みが愉しめます。戦後の闇市のような場所もまだまだそこかしこに見られますしね。
そうこうするうちに日も暮れて、台北最後の夜はここ
めっちゃ入りにくいお店、でも歴史ある建物のようで、その昔軍事政権時代の戒厳令が敷かれていたころ、夜になると民主化運動の闘士たちが集まっていた店だそう。
中はこんな感じ
ここでも腹がはち切れんばかりに食いまくりました。画像はひとつだけ、ダックの半身揚げ、いや~美味ぇ~こと、ビールがすすむわ~。
久しぶりの海外旅行、でも台湾ならばほんと週末に気軽にちょっくら行ってくるというのも大いにありな場所でした。日本に比べてルーズだったり、きれいじゃない場所もあったりしますが、日本式を当てはめてちゃいけない、郷に入っては郷に従えのことば通りありのままを愉しまなきゃもったいないでしょう。特にスタイリッシュなレストランじゃなく、そこらのおっちゃんが食ってる粥や麺線(日本の素麺のような柔らかいあんかけ麺)なんかを食べているのが自分には合ってるな~という感じの旅行でした。
えっ?骨董は?って、それは忘れてました。(あったとしても日本より元気な分、高いんですよね~)
[旅行]2017年10月15日
ここのところサボっていたブログの更新ですが、昨日の台湾旅行の続きのご報告であります。
さてメインイベントである故宮博物院ですが、市街地からやや離れている郊外にあります。例によってあの便利な地下鉄でホテルのある西門の駅から台北メインステーション、そして乗り換えて淡水線で6つ目の士林駅で下車、(おおよそ20分弱くらいかな)そこから更に路線バスを利用して行きます。ホテルからタクシーを使っても日本に比べれば安いのですが、郷に入れば郷に従えという言葉もある通り現地の人が普通に利用するものがやはり旅心をくすぐるわけで、やっぱり田中小実昌先生よろしく路線バスの短い旅でありますね。バス停は故宮の目の前にあり至極便利なアクセスであります。
中国本土に比べればはるかに小さな島国の台湾ですが、故宮のアプローチはやはり大きく、ベルトリッチの映画「ラストエンペラー」のシーンのような広い階段を上っていきます。もっとも紫禁城のあの場所はここよりもはるかに巨大ではあるでしょうがね。階段を昇るとバカでかい方鼎がおいてあっていかにも「あぁ~中国人の好みだな~」と感じます。
午前中が空いているということだったのですが、週末ということもあってか中国本土や日本からのツアー客で中はごった返しておりました。しかしその展示品はやっぱり凄いの一言、蒋介石が北京からいいものいだけ持って来ちゃったといううわさ話もなるほどと肯ける内容でありますね。
まずは金銅仏の部屋へ
次に彼らが一番好むのはやはり玉の類
陶磁器はやっぱりこれかな(全部を載せきれないのでね)明時代、成化年製の粉彩、欧米では通称チキンカップ、手のひらの上に乗るようなごく小さなものですが、市場に出れば20億円くらいはしそうな凄いものですね。
七宝も彼らが好む工芸
発掘ものの俑たち
書画の類も外せない
と、まあ~あるはあるは、げっぷが出る!しかし表に出ているものはそれほど極端に多いわけではないので、丸一日かけて観るほどではないのが、逆に体力的にはありがたいところ。倉庫にはまたもの凄い量が保管されているのでしょうけれど・・。
ベタ中のベタな観光スポットなんですが、やはりここは外せないポイントでありました。しかし台湾は暑い国、今日の気温も34度くらいあってめっちゃ暑い!そしていろんなところでそうなんですが、室内の冷房はガンガン利いていてめっちゃ寒い!これが彼ら流のおもてなしでありましょうか。極端なんだな~もう~。
もう少し続きます。次回に
[旅行]2017年10月14日