雑記

夏の勉強会レポート・その1

もういいかげんうんざりする挨拶ですが、いや~あっついですねぇ~。しかし日中は暑くても朝晩にひんやりする空気が感じられるようになってきたのは、確実に秋に近づいているということですね。秋になればまた一段とおいしい旬のものが出てきて、ますますお酒が進みますねぇ、ありがたいことです。自然の摂理に感謝しつつ、今日は先日行ってきた奈良での勉強会レポートです。

実はわたくし奈良へは毎月行っているんですが、それは交換会という骨董商同士の市場に行っているだけで、恥ずかしながらあまり周辺の史跡などには行ったこ とがありませんでした。そこで奈良の店で修業をした同業の友人にコーディネートしてもらい、一泊二日で仲間数人と勉強会に行ってきました。まずは新幹線で 一路、京都へ、それから近鉄に乗り換え奈良へ。なんども訪れた奈良の地もこうして電車でくるとなんとなく旅行気分で新鮮です。

まずお昼は予約してあった「塔の茶屋」へ。ここは興福寺の敷地内にある、茶がゆをだしてくれる懐石料理屋さんです。経営は骨董商の大先輩である河瀬洋三氏、われ われのために特別に骨董のうつわで料理を出してくださり、改めて長年たくさんの数寄者に愛されてきた懐石道具の素晴らしさ、食器として料理を盛ったときの 美しさに心が洗われるようでした。お料理もアボカド入り養老豆腐から始まり、冬瓜、鮎、鱧、松茸、など巧みに手をかけたおいしい料理をいただき、〆は茶かゆ、夏場は冷たいのも用意してくれるのもうれしいところ。満腹でお店を後にしました。

そしてその河瀬さんのお店へ伺い、むかし話をお聴きする勉強会が始まりました。お父上の河瀬虎三郎氏は松永耳庵や小林逸翁、細見古香庵などの名だたる数寄者と親交があった方で、最初は刀剣のコレクターでした。あるとき奈良の骨董商、柳生彦蔵氏に「刀剣もけっこうですが、いちどお茶も…」と勧められ、茶会に招かれたそうです。感銘を受けた河瀬氏は後日、柳生彦蔵氏に「先日のお茶会の道具、茶碗、香炉からなにから一切合切いただきたい。」とおっしゃって、そこから京都のお茶とは違う、奈良の仏教美術を取りれた奈良流のお茶、河瀬虎三郎の数寄が始まったのです。この話はすでに本で読んで知ってはいたのですが、やはり大先達の口からじかにお話が聴けたことに、何と云うか同じ道を歩むものとして貴重な体験をさせていただいたな、と感銘を受けました。

その他にもいろいろと面白いお話をお聴きしていたのですが、すべてを書く余裕も無いのでこれくらいにしときます。とても参考になるなと思ったのは、仏教美術を取り入れたお茶と云うのは、新しい視点でお茶を見つめて活性化したすばらしい流れだったということです。現代のわたしたちにはまた違った、何も金額の高い物を使うだけではなく、新しい視点でお茶を愉しむ「数寄ごころ」がもっと必要なんではないかということでした。自分もおもしろい使い方をお客さんに提示できるようなセンスが、もっともっともっと必要なんだなと改めて思わされた勉強会でした。

まずはレポート・その1でした、続きはまた近日中に、それでは失礼いたします。

勉強会]2010年9月2日