雑記

アスリートの引退

毎日暑い日が続きますね~、でもじわじわと台風などの影響で雨も凄かったりして、少しづつ季節の移り変わりを感じます。夜など耳を澄ますと夏の終わりを思わせる虫の声などがかすかにですが聞こえてきます。とは云えまだ8月、くれぐれも熱中症にはご注意を!

さて9月に入ってからはパラリンピックがまだありますが、リオオリンピックはそろそろ終盤、今回メダル獲得数が特に柔道やレスリングでロンドンと比較して大幅に増えたようで、活躍に見入った方も多かったと思います。特にレスリング、伊調 馨選手の四連覇なども凄いことだし、初出場で金を獲得した土性選手や川井選手ののびのびとした試合と、優勝後の栄監督とのお約束パフォーマンスも輝きを放っていましたね。

吉田沙保里選手の銀メダルも素晴らしい成績ではあるのですが、ご本人の感覚としては公式戦の敗北ということで相当なショックであったかと思います。勝ち続けることの困難さ、精神と身体とのバランスをピークに持って行ってはじめて偉業が達成できるのでしょう。運も才能なんて軽く云ったりしますが、その運を享受できる位置に上っていることの大変さは筆舌に尽くしがたいものと思います。そしてまず何よりも勝ちたい意欲を持ち続けることが一番の難しい課題になりますね。

ご本人は今の段階で正式に発表はしていないものの引退を示唆されているようです。体操の内村航平選手などもそうかと思うのですが、まさにやりつくした感があるのではないでしょうか。今はただただ身体を休め、リラックスして次の人生のステージに上がる準備の期間として貰いたいと余計なお世話ですがそう思います。

われわれ観衆はまた次の選手の活躍を大いに楽しませて貰いたいと思っています。中にはやいのやいの云いたがる人もいるかもしれませんが、結果だけを見て文句をつけるなど野暮なこと、選手ご本人の達成感や満足感こそ大事なのだから、結果に対してインタヴューなどで「応援してしてくれた人にすまない、申し訳ない」などと謝罪の言葉など本当に聞きたくないし、またその必要もありません。そう云わせる風土の悪しき部分を払拭していかなければ委縮したスポーツ社会のままになってしまいます。

華々しい活躍で引退の花道を飾るというのはそれはそれは理想的なことではありますが、敗北を抱きしめておのれの限界を知るというのも実に人間的で愛すべき状況のようにも思います。ついこの間無くなってしまったウルフこと横綱千代の富士、九重親方も若い頃自分が引導を渡した貴ノ花の子息、貴乃花親方に敗れて限界を知らされたというエピソードはドラマチックで象徴的でありますが、このように若い好敵手に敗れていくのも実に自然なことではあります。

さてわれわれ骨董や稼業の人間は実に引退も具体的な勝ち負けもなく、各々が勝手に商いをしていくだけのわかりにくく不可思議な世界ではありますが、何年もやってきてコツのようなものがあると思えるのは、実に当たり前でシンプルなこと、すなわち自分の商っているものがどれだけ好きかの一点であります。それはおのれの感じる心を売ることですから、この矜持を捨てた時に負けが確定してしまうのでありますね。そういう意味で云えば一生負けない(勝利かどうかはともかく)商売であります。

アスリートの引退はいつか来るもの、しかし引退してからの人生もまた長く大変な戦いの連続、その闘いを愉しめるかどうかが試される道のりが待っているのです。

ちなみに私は愉しくのんびりやらせてもらっています。それは一にも二にも家内に感謝であります。

ニュース]2016年8月21日