雑記

東北という土地

こんにちは、11月の末に東京でもまさかの初雪! 観測史上初めてのことらしくどこもかしこも大慌てで対応に苦慮していたのではないでしょうか。もっともテレビのニュースでは相変わらず降雪の場合は滑って坂を上がれないノーマルタイヤ(!)の車の様子とはしゃぐ子供たちの画像が流れていますが・・。

北国では11月の降雪など当たり前、すでに皆さんスタッドレスに履き替えているでしょう。東京の人はやはり雪道を軽んじてあんな雪の日にノーマルタイヤで出かけたりしますが、雪国の人は慣れたものですね。(もっともその慣れでがんがん飛ばして事故が起きたりもするのですが・・、北国の皆さんくれぐれも交通安全で)

さて先日は年に二回訪れる岩手の交換会の大会に行ってきました。昔は彼の地ではいろいろと東北の土俗的文物や民藝の愉しいものが出ていたのですが、さすがに昨今は出なくなりました。(このセリフ、聞き飽きたと思われるかもしれません、もう何年もこんなことを云っているような気がします。もっとも柳宗悦も昭和戦前、京都の蚤の市を覘いてなかなかものが出なくなったと云ってますから、モノを探している人のビョーキのような視点かもしれません)それでも皆、一生懸命に商いに頑張っていてその熱気は変わらないものです。

やはり今回もあまり買い物は少なかったのですが、ひとつ以前から好きだった獅子頭を買うことが出来ました。獅子頭と云えばご存知ない方のイメージはお正月のテレビ番組や寄席などで舞い踊る真っ赤なお獅子でしょうが、あのようなある種派手なものは近年の造形感覚でしょう。我々が扱う獅子頭は主に江戸や明治のころの、もっと素朴で土俗的なもの。そして地域共同体の小さなまつりのなかで大切にされてきた民間信仰の遺品としてのものたちです。
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彼の地では権現さまと呼ばれ、中央からやってきた本地垂迹思想と土俗の信仰がいろんなかたちでミックスされたものです。そこには実に豊かで個性的な造形感覚があります。東北という地域の過酷な自然環境のなか、逞しくそれに耐えていく力強さがその中に如実に反映されているわけですね。

こんなうれしい買いものがあるわけですから、東北巡りはやはり外すわけにはいかないところです。

そして東北の愉しみと云えば美味いもの、というわけで最後の夜は仙台泊まり。この時はまだまだ寒さも本格的という訳ではないので、銀杏の葉っぱが黄色く鮮やか。
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そして仙台の夜は必ずこの居酒屋、最初に訪れたのはもう20年以上も前になります。今年でたしか開店から70年ほどにはなるんでしょう。あえて店名は伏せときますがご存知の方は多いかと思います。今さら私がどうこう云うまでもなくしっかりと常連さんが付いている名店ですね。いい居酒屋の条件に酒がいい、肴がいい、雰囲気や佇まいがいい、などあると思いますが、もうひとつ重要なポイントは来ているお客さんがいいというのもあるかと思います。私は半年ごとに来るだけですがそのたびに来ている人たちの、穏やかな呑み方が醸すいいムードに、そして女将さんの仙台弁の和やかさに、あ~来てよかったと思わされます。
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たっぷりと呑んでゆっくりと常宿で爆睡した翌日は帰るだけ。当然自分ひとり旅先で美味いものばかり食っとると波風が立ちますんで、そこはお土産攻勢でしのぎます。
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今回は塩雲丹、ほやの塩辛、ほやジャーキーであります。

東北という土地は冬の寒さは厳しいながらそれに雄々しく立ち向かう武骨さと、山海の幸に恵まれた豊饒さ、それらが綯交ぜにになって魅了してくれる場所であります。皆さんも訪れてみては如何でしょうか。

旅行]2016年11月27日